防災とはなにか?減災の考え方や活動・家庭で減災できること
防災とはなにか、減災の考え方とは?
防災とはなにか、減災の考え方や活動、家庭で減災できることについて解説をします。
防災とひと口に言っても、地震や台風などによって受ける災害を未然に防ぐ目的で使われる場合もあれば、被害がすでに起きていてそれ以上の拡大を防ぐ目的や、被災からの復旧まで含める場合もあります。
このように幅広い意味で使われるようになったのは、防災と似た言葉の「減災」という考え方が浸透してきたからなんですね。
減災は英語で「レジリエンス(Resilience)」。意味は「変化に対処する能力」で、脆弱性(vulnerability)の反対語の意味で使われます。
つまり、災害が発生したときにその被害を最小限に食い止めるための取り組みを意味するわけですね。
防災から減災へという時代の流れ
この言葉を最初に使った人は定かではありませんが、1995年1月17日の阪神大震災の時に東京大学で災害情報の研究をしていた廣井脩先生が使っていたという話もあります。
自然災害をすべて防ぐことは難しいものの、日頃の工夫や備えによって災害被害を軽減する目的で表現されるのが減災です。
その後、時代の流れは防災から減災へ、災害を最小限に抑えるための対処法が重視されるようになりました。
家庭で地震などの減災ができることは?
家庭で減災できることの「7つの備え」として、内閣府が7ポイントをあげています。
事前にこれらの知識や情報を共有し、対処方法を相談しておくことで、いざという時に冷静に行動することができるというものです。
1・自助、共助
2・地域の危険を知る
3・地震に強い家
4・家具の固定
5・日ごろからの備え
6・家族で防災会議
7・地域とのつながり
このほかに災害情報を迅速に提供する国や自治体の動きも重要ですが、まずは家庭からできることを促進すれば人的被害は減少するという考えです。
防災・減災の課題
国土交通省「新たなステージに対応した防災・減災のあり方」に現状と課題が記されています。
災害対策基本法では市町村長が避難勧告等を発令しても、避難勧告等は強制力を伴っていないため、あくまでも災害時には「自助」が基本です。
しかし、「避難勧告が出たら避難する」という認識が浸透しているために、これがかえって情報待ちの住民を多く生み出しているのも事実なんですね。
「避難勧告が出ていないのだから大丈夫」と安心していたために、なんらかの事情で避難勧告の発令が遅れてしまった場合、災害の発生後に発令されて危険を回避できなかったというケースも過去にあったわけですね。
また、災害の種類ごとに浸水想定やハザードマップなども公表されてきていますが、住民の認知率はまだ低く、多くの住民に活用されていないというのも課題として指摘されています。
減災活動とは
家庭で自分や家族を守るための減災活動とは、公的機関からの情報を待つだけではなく、自分で自分の身を守るという考え方を大切にしなければなりませんね。
内閣府による「7つの備え」はとてもシンプルなことではありますが、個人的にはたとえば「地域の危険を知る」のはとても大切なことだと痛感させられました。
2019年の東京多摩川の氾濫で多摩川の土手に大洪水が押し寄せて、二子玉川では堤防を乗り越えて道路が水浸しになりました。
しかし、古くから住んでいる土地の人にお話をうかがえば、その周辺は昔作られていた堤防の内側だった場所だとか。
そこに暮らす以前にどんな土地だったのかを知っておけば、少なくとも水害の危険は少なくなるかもしれません。
新築の建売住宅が建っている場所がその昔は沼地だった、というケースもまれにあります。
大規模な災害に合わないように、自分が住む地域の災害の歴史を調べておくことは、減災の第一歩といえるでしょう。