いざというときの防災知識

安全靴とは?JIS規格の基準や種類、プロテクティブスニーカーとの違い

2020/12/20
 
高所作業の画像
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過去最大の災害と呼ばれる天災が世界中で頻発しています。自分や家族を守るための減災知識や、いざというときに家庭でできる備えやグッズなど、評価の高いものから調べて掲載しています。なにかが起きるまえに、ぜひ準備してくださいね。

安全靴とは?JIS規格の定義・基準・種類とプロテクティブスニーカーの違い

安全靴とはなにか、JIS規格の定義・基準・種類やプロテクティブスニーカーとの違いなどについて解説します。

安全靴(Safety Boots)とは日本工業規格(JIS)において「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」と定義されています。

JIS規格は国家標準の日本工業規格であり、JIS規格で認められた安全靴はJIS認可工場で生産され、素材の種類や防護性能といった基準を満たし、性能試験に合格したものに限られています。

しかし、一般的にはJIS規格の基準を満たさない先芯を搭載しているだけの安価な靴も安全靴と呼ばれ、販売されているため、よくわからないまま、そのような靴を代用してしまう人もいるんですね。

もともと安全靴は重機を運用する工場や、鉱業、建設・建築、工事現場等の足への危険を伴う現場で着用者の足を保護することを目的としています。

事業者は労働者に対して、労働災害を防止するためにヘルメットや安全靴などを支給し、着用させることが義務づけられています。

ですから、作業現場で「安全靴の着用指示」があった場合には、JIS規格に合格した靴を履かないと作業現場で事故があった場合、罰金の対象となったり、労災保険の賠償額が減額となったりする場合があるので注意したいものです。

JIS規格の基準と日本製安全靴の種類

JIS規格の基準には耐衝撃性能・耐圧迫性能・表面の剥離抵抗といった3つの基本性能試験があります。

耐衝撃性能は性能が高い方から、重作業用(H種)・普通作業用(S種)・軽作業用(L種)となっていますが、作業環境に合わせてほかの基準がプラスされていることもあります。

たとえば、重量物を扱う現場もあれば、静電気による火災や爆発が起きやすい危険物施設、水・油などで転倒しやすい現場、釘などを踏み抜く可能性がある高所など多種多様な状況があるからなんですね。

そこで、日本製安全靴にはそれぞれの作業現場に応じた基準として、基本性能試験の他に、かかと部の衝撃エネルギー吸収性、耐滑性、耐踏み抜き性、甲プロテクタの耐衝撃性、静電気帯電防止性能といった付加的性能試験というものが設けられています。

このほかにも油や薬品への耐性が求められる現場における耐油・耐薬品仕様、アスファルト工事のための熱場作業用の耐熱靴、絶縁底などの性能を持つ安全靴もあります。

プロテクティブスニーカーと安全靴の違い

通販で販売されている安全靴のなかには「プロテクティブスニーカー」と呼ばれるものもあります。

スニーカータイプの安全靴として販売している販売店がほとんどですが、正確には安全靴ではないんですね。でも、安全靴の基準の流れをくむ靴ではあります。

これはJIS規格とJSAA認定品という基準があるために、わかりづらくなっています。

JIS規格は国家標準の日本工業規格、JSAA認定は公益社団法人日本保安用品協会の制定規格であり、それぞれを認定する機関に違いがあります。

簡単にいえば、JSAA認定品はJIS規格よりも基準がちょっとゆるく、「JIS規格基準までの安全靴を必要としない」ときに購入する靴なんですね。

ややこしいですが、「ちょっとゆるい」理由をこれから解説しましょう。

プロテクティブスニーカーでもJIS規格が基本に

JSAA認定品にはプロテクティブスニーカーやプロブーツ(長靴タイプ)の2種類がありますが、外見上は一般的なスニーカーやブーツとほぼ変わらず、履きやすくてファッション性が高いという特徴があります。

そして、先ほども述べたようにJSAA認定品であるプロテクティブスニーカーは、JIS規格の安全靴よりも基準がちょっとゆるいわけですね。

この微妙な表現にしたのは、つま先の防護性能等の安全性能や耐久性などはあくまでもJIS規格が基本となっているからです。

JSAA(A種)普通作業用は「安全靴JIS規格T8101 S種」、SAA(B種)軽作業用は「安全靴JIS規格T8101 L種」の試験方法と同様の試験なので、基準が劣っているわけではありません。

つまり、JIS規格よりも1ランク下の基準というだけです。

そのため、プロテクティブスニーカーの表記には普通作業用「A種(安全靴のS種相当)」と軽作業用「B種(安全靴のL種相当)」という表記がされていることがあります。

JIS規格とJSAA認定品がある理由

どうしてこのようなふたつの基準ができたのかといえば、組織が違うというのもありますが、現実的には2つの理由があるようです。

安全基準を満たさないニセ物と区別するため

JIS規格と誤解を与える商品が出回り、安全性能や耐久性に問題のある製品が多く流通しているため。

実際にJIS規格までの基準が必要のない現場もある

運輸・物流・倉庫・ホテルやレストランの厨房・ナースシューズなどは、外見上、一般的なスニーカーとほぼ変わらず、軽い靴が導入されやすい。とはいえ、JIS規格までの安全性が必要ない場合もあるため。

JIS規格やJSAA認定品の見分け方

JIS規格やJSAA認定品の見分け方はマークを見ればわかります。安全靴の場合は靴底や中敷きなどにJIS規格に合格していることを表すJISマークがついています。

いちばん上でドンケルの安全靴を紹介しましたが、商品ページに入って中敷きが見える画像をチェックしてみると丸いJISマークが見えます。

また、商品詳細をチェックすると「規格」の欄に「JIS T8101革製S種E・F合格」という情報があります。この2箇所をしっかりチェックすれば間違いありません。

JSAA認定品のプロテクティブスニーカーの場合は、靴のベロ(タン)裏に形式認定合格マークと種別が記載されています。

商品ページにもプロテクティブスニーカーマークや「JSAA A種 認定済」といった記載があります。

JISマークやJSAA認定表示のないもの、あるいは似たように見せかけた先芯入り靴もありますが、両者の認定を受けていない靴ですから、くれぐれも注意してくださいね。

どのブランドを選んだらいいかわからない場合には、このあと別記事で紹介しますので参考にしてください。

 

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