呼吸用保護具の種類・エアラインとホースマスクの違い、空気呼吸器など
呼吸用保護具の種類・給気式とろ過式の違いとは
呼吸用保護具の種類は大きく「給気式」と「ろ過式」の2つに分けられます。
この2つの分け方は酸素濃度18%未満で使うタイプと、18%以上で使えるタイプという区分です。
空気中の酸素濃度が18%未満の状態になると、人間は必要とされる酸素を体内に取り込めず、酸素欠乏症を起こして命の危険が高まります。
もくじ
このことから、酸素濃度18%未満で使う「給気式」はマスクにほかから新鮮な空気を取り込むタイプ、18%以上で使う「ろ過式」はその場の空気をろ過して使うタイプとなっているわけですね。
初めて聞く人には違いがわかりづらいエアラインマスク、ホースマスク、空気呼吸器などは前者の「給気式」に含まれます。
一般家庭でも地域や状況によっては強力な性能のマスクが求められる機会があるかもしれませんから、チェックしておいてくださいね。
呼吸用保護具の種類
給気式
酸素濃度18%未満で有効 |
送気マスク | エアラインマスク |
ホースマスク | ||
空気呼吸器(自給式呼吸器) | ||
ろ過式
酸素濃度18%以上で有効 |
防じんマスク | 取替え式 |
使い捨て式 | ||
防毒マスク | 防毒マスク | |
防じん機能付き防毒マスク | ||
電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR) |
給気式とは?エアラインマスク・ホースマスク・空気呼吸器の違い
「給気式」とは酸素濃度が18%未満でも使えるマスクで、着用者が携行している空気ボンベやほかの場所から空気を吸入するものです。
給気式のタイプには「送気マスク(エアラインマスク・ホースマスク)」と「空気呼吸器(自給式呼吸器)」があります。
送気マスクは工場、鉱山、トンネル、火災現場、石綿除去作業などで使われていて、作業場所とは別の場所から空気を供給するために使われます。
この送気マスクには2種類あります。ホースマスクは自然の空気をホースで送る、エアラインマスクは圧縮空気を送るという違いだけなんですね。
空気呼吸器(自給式呼吸器)は自給式という名称がついているように、自分で空気ボンベや酸素ボンベを背負って使うものです。
ろ過式とは?3種類のマスクの違い
「ろ過式」とはろ過材や吸収缶を通して、粉じんや有毒ガスなどを除去して外気を吸う仕組みです。
ほかから空気が供給されないので、酸素欠乏の恐れのある酸素濃度が18%以上の場所でないと使えません。
「ろ過式」のマスクには3種類あり、防じんマスク、防毒マスク、電動ファン付き呼吸用保護具(PAPR)に区別されます。
防じんマスク・防毒マスクの種類
防じんマスクには取替え式と使い捨て式があり、取替え式のほうは鼻やあごにフィットするようにデザインがより工夫されています。
取替え式にはろ過材が前面に配置されたシングルタイプと、左右に配置されたデュアルタイプがあります。
防じんマスクの使い捨てタイプのおすすめ、N95マスクとDS2マスクに関してはこちらを参考にしてください。
防毒マスクとは有害ガスや粒子状の物質の吸引を防ぐための呼吸用保護具です。
面体と吸収缶から作られていて、吸収缶の種類によって解毒できる能力が違います。
顔とマスクの隙間からの漏れ(密着性)も考慮したうえで、有毒ガス等の濃度の上限によって直結式小型、直結式、隔離式の3種類に分類されています。
防じん機能つきとないものがあるので、両方の機能が必要な場合には防じん機能付きを選びましょう。
PAPR・呼吸器マスクとは
「電動ファン付き呼吸用保護具(Powered Air Purifying Respirators)」は英語の頭文字をとって、PAPRと呼ばれます。
着用者が着用した電動ファンとバッテリによって、空気中の粉じんをフィルタによって除去してから清浄な空気を着用者に送る呼吸器マスクなんですね。
PAPRには装着者の顔面に密着するタイトフィットタイプと、装着者がすっぽり被って顔面に密着しないルーズフィットタイプ(フェイスシールドタイプ)の2種類があります。
国家検定(型式検定)合格のPAPRを使う
PAPRマスクは自分で空気を吸引する防じんマスクより楽に呼吸ができて、マスク内部が外気圧より高く保たれるために外気の漏れが少なく、一般的に防護率が高いとされています。
ただし、有毒ガスや化学物質は除去できないので、そのような環境では防毒マスクや送気マスクを使う必要があるわけです。
PAPRは国家検定規格に基づく型式検定が実施されていて、安全性が厳しく求められた製品がつくられていますので、国家検定(型式検定)に合格した記載のあるPAPRを使ってくださいね。
新型コロナウイルス肺炎は接触・飛沫感染と考えられているので、一般的には空気予防策であるN95マスクは不要でサージカルマスクの着用がすすめられています。
とはいえ、今後のさまざまなリスクを考えると、N95マスク、DS2マスク以上の準備をしておきたいところですね。